一覧へ戻る
中国・アジアウォッチ

タイのプミポン国王死去の影響 

「奪われた10年」は長期化へ-王位継承不安が海外投資などに悪影響

上原 正詩
  主任研究員

2016/10/17

 タイのプミポン国王(ラマ9世)が10月13日に死去した。国民から「崇拝」に近い尊敬を集めていた国王の喪失で、タイの将来への不安が増している。皇太子が王位を継承するのが確実で、軍事政権はこれまで皇太子のイメージ向上に努めてきた。しかし海外メディアは皇太子への懸念を報道し始めている。国民の不安、不満は治安の悪化などで表面化する恐れがあり、海外からの直接投資や外国人観光客へも悪影響が出るだろう。タイの経済低迷は10年前のタクシン元首相を追放した軍事クーデターから始まっており、「奪われた10年」は長期化する可能性がある。

タイの人口見通しと経済成長見通し

【ポイント】

  1. プミポン国王の死去でタイでは不安、不満が高まる。
  2. 王位継承の不安は海外投資、サービス輸出、消費にも悪影響が出る。
  3. 2006年、タクシン追放のクーデターが「奪われた10年」の始まり。
  4. 起業家よりも軍人優先の社会では、経済の低迷は長期化する。
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから

キーワード