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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「米新政権とアジア」 (第2回)

トランプ氏の中国政策、にじむ「経済最優先」

――通商に力点、戦略対応は米ロ関係も変数に

伊集院 敦
  首席研究員

2016/11/16

 トランプ政権の対外政策のうち、アジア政策での最大の焦点のひとつが中国政策だ。トランプ氏は選挙キャンぺーン期間中にたびたび中国問題で過激な発言を繰り返してきた。実際に大統領に就任した後に中国との経済問題や安全保障の問題でどのような姿勢で臨むかは、日本の国益や日本企業の今後の戦略にも直結する。

米中経済セミナーの様子

【第2回のポイント】

  1. 対中関係でトランプ氏の発言は経済問題に集中している。国内世論を意識し、来年1月の政権発足当初から強い姿勢で中国との通商問題に臨む公算が大きい。
  2. 経済政策以外の優先順位はあいまいで、新政権の包括的な中国政策が固まるには時間がかかる見通し。それによって米中対話の枠組みも変わる可能性がある。
  3. 安全保障など戦略面での変数になるのがロシアとの関係。米国外交における対ロ関係の位置づけは依然として大きく、米ロ関係の行方が対中戦略に大きな影響を与える。

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