アジア有数の金融センターであるシンガポールは、ITと金融の融合サービス「フィンテック」分野の育成に本気で取り組み始めている。中心となって旗を振るのが中央銀行に相当するシンガポール金融通貨庁(MAS)だ。MASは自国を世界のフィンテック・ハブにする戦略の一環として、起業家や大手金融機関など関係者が一堂に会する祭典「シンガポール・フィンテック・フェスティバル」を2016年11月に開催した。1万人超の参加者を相手に、監督機関というよりも産業育成機関の側面を強調し、「レギュラトリー・サンドボックス(制限された砂場)」という規制緩和策の実施を宣伝した。祭典のルポを交えつつ、同国のフィンテック振興の取り組みを紹介する。
【第3回のポイント】
- 「シンガポールが情報技術(IT)と金融の融合を目指すフィンテック産業育成に取り組んでいる。旗振り役は中央銀行に相当するシンガポール金融通貨庁(MAS)だ。
- MASは起業家や大手金融機関など関係者が一堂に会する祭典「シンガポール・フィンテック・フェスティバル」を2016年11月に開催。50ヵ国超から約1万1000人が参加した。
- MASは祭典でイノベーション促進のために法律を柔軟に運営する「レギュラトリー・サンドボックス(制限された砂場)」政策を説明。「ネットワーキング」イベントも多数開催し、起業家と大手金融機関の交流を促した。
◆関連レポート◆
シリーズ企画「シンガポール、起業国家への挑戦」
・【第1回】「ブロック71」にスタートアップ集積-シンガポール国立大、海外企業留学が奏功
・【第2回】世界のアクセラレーターも集積-起業家に経営指導、ディープテックで成功再現
・【第4回】アジアのフィンテック企業が法人設置-VCなどからの資金調達が狙い
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