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中国・アジアウォッチ 返還20年、香港経済の今 (上)

不動産・インフラ開発頼みの成長に限界

――拠点性を高め、英語通用度上げよ

南 毅 (研究生)
   

2017/01/24

 世界の貿易・金融センターとして知られる香港の経済が成長の隘路に入り込んでいる。2016年の実質GDP成長率は1%台(1.6%程度)と、リーマンショック後(09年)以来の水準まで低下。人民元安を背景に中国本土からの観光客が減り、高額品消費が減少しているのが主因だ。中長期的には外資企業の香港撤退や高齢化などの課題も抱える。ただ財政黒字を背景にインフラ投資は高水準、足元の失業率も悪化していない。不動産・インフラ開発が進む街を歩きながら、返還20年を迎えた香港の先行きを上・下の2回連載で考察する。

香港、シンガポール、日本、世界のGDP成長率比較

【(上)のポイント】

  1. 香港が英国から中国に返還されてから、今年で20年。最近の香港経済は年率1~3%程度の経済成長率にとどまり精彩を欠く。中国本土からの旅行客減、消費・投資の減退に加え、国際拠点としての地位低下という難題も浮上する。
  2. 一方、不動産価格は上昇傾向を維持。香港政府は規制を強めて過熱抑制を図るほどだ。大型インフラ開発計画も着実に進み、失業率は低水準。不動産、インフラ開発が活況な限り、香港経済は短期的には堅調さを保つ。
  3. ただしライバルのシンガポールに比べると、1人当たりGDP、ビジネス環境、教育などの側面で出遅れている。米トランプ大統領就任に伴う貿易量縮小、中国の習近平政権の権力強大化も懸念材料。新たな形で国際拠点性を打ち出す必要がある。英語の通用度を引き上げる努力も必要だ。
関連レポート

「返還20年、香港経済の今」
【下】インタビュー:世界の不確実性に翻弄される香港―貿易縮小なら痛手、慎重な見方多く (南毅)

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