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中国・アジアウォッチ 返還20年、香港経済の今 (下)

インタビュー:世界の不確実性に翻弄される香港

――貿易縮小なら痛手、慎重な見方多く

南 毅 (研究生)
   

2017/01/26

 香港の実質GDP成長率は低迷している。ブルーチップ(Blue Chip)のコンセンサス調査によると、2016年が1.5%(予測値)なのに対し、17年は1.7%、18年は2.1%にとどまる。08年秋のリーマンショック前には年6~9%程度、伸びていただけに、低迷ぶりが顕著だ。中国のGDP成長率は15年に7%を割り込み、台湾も半導体、携帯電話関連の不振で香港同様の年1~3%前後の成長率だ。17年以降の香港経済、及び中国本土・台湾を含むアジア経済について、現地エコノミスト3人に話を聞いた。

中国・香港・台湾の実質GDP成長率

【(下)のポイント】

  1. 香港は世界の国際・貿易拠点であると同時に、中国及びアジア経済の中継拠点。同地には多くのエコノミストが集まり、経済分析及び予測を施している。
  2. 香港駐在の複数のエコノミストに話を聞いたところ、2017年の香港は1%台後半の低成長が続くとの認識で一致。消費・旅客の低迷、世界経済の不確かさが成長の足を引っ張るとの見方が多かった。
  3. 中国経済については成長率の低下が続くものの、不動産や株式市場に大きな下落要因がなく、大幅に崩れることはないとの見方が目立った。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は輸出減・債務増による下押し、台湾は携帯電話などの伸び悩みによる輸出減を指摘する声が出ていた。
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