「高度な自治」「港人治港」(香港人による香港統治)を謳った「一国二制度」の下で、香港を代表する首長、行政長官をどのように選ぶべきか。香港特別行政区基本法には最終目標は1人1票の「普通選挙」と明記してあるものの、現行は間接選挙で中国寄りの候補者しか立候補できない仕組みになっている。これに対し、公正な「真の普通選挙」を求めて香港の若者らが2014年9月28日から12月15日まで79日間にわたって香港中心部や車道を占拠する「雨傘運動」を展開した。この運動の提唱者、香港大学の戴耀廷(ベニー・タイ)副教授(52)にインタビューし、香港の民主化の現状や行方などを聞いた。
【ポイント】
- 香港の人々は1997年7月の返還後、「香港人」意識が強まり、民主主義への要求を高めていった。「一国二制度」で約束されたはずの「高度な自治」は民主的なものではないため、2014年に民主化を求める「雨傘運動」が起きた。
- 「雨傘運動」は失敗したとの評価もあるが、「民主的な自治」への“離陸”を果たした。その結果、香港の人口の50%以上が民主的な変化を支持するようになった。支持率を70%、80%の圧倒的多数にしていくのが「大戦略」だ。
- 今後10~15年以内に中国に大きな変化が起きる。政治改革で連邦制国家に移行するかもしれないし、共産党政権が崩壊するかもしれない。どのような場合でも、香港人が香港を治める「民主的な自治」が実現すると確信している。
◆関連レポート◆
「一国二制度」20年の検証
・①【インタビュー】戴耀廷・香港大学副教授 香港の「民主的自治」実現へ―雨傘運動で“離陸”果たした (泉宣道)
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