中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が3月15日、11日間の会期を終え、閉幕した。今回の全人代は、秋に予定されているビッグイベントの共産党大会をにらみ、習近平国家主席の権威を高めようとする指導部の演出が目立つ会議だった。政策目標を見ても波乱や混乱を避けるための「安全第一」の姿勢がうかがわれるが、一方では金融や雇用不安の高まりなど、中国経済が抱えるリスクへの警戒感もあらわになった。
【ポイント】
- 15日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)を見ると、今年の中国の政権運営の基本は「安定」優先であることは明白だ。秋に予定する共産党大会に向けて経済、政治、社会の不安定要因を最大限、取り除こうとする姿勢が浮き彫りになった。
- 一方で、習近平政権の公約である「構造改革」では一定の成果が欠かせない。今年は過剰能力の削減をさらに加速する構えだ。
- このため、最も苦労しそうなのが雇用対策。新規就業者数の目標を昨年より引き上げて、失業者の吸収に全力をあげる方針を鮮明にした。
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※本リポートに連動して、当センターの会員向けに、3月5日に李克強首相が演説した政府活動報告全文の日本語訳を掲載しております。ご参照ください。
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