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中国・アジアウォッチ

東南アジア高速鉄道整備の可能性

――最も有望なのはバンコクーホーチミン路線

南 毅 (研究生)
   

2017/03/29

 東南アジア諸国は人口増加が続くにもかかわらず、交通インフラの整備が十分に追いつかず、一段の発展や商機拡大が阻害されている。道路整備も重要だが、到達時間の安定性・大量輸送・環境配慮の側面から期待される輸送手段が、高速鉄道(HSR、High Speed Railway)だ。高速鉄道は一般に、最高時速200 キロメートル以上の鉄道サービスを指す。東南アジアは人口の密集する都市が多数点在しているだけに、国際的な高速鉄道網を整備すれば一層の経済成長に貢献する可能性がある。東南アジアのどこに高速鉄道網を整備すればよいのか。都市間の距離と都市人口に注目して、高速鉄道網整備の可能性を考察した。

アジア各国の高速鉄道整備可能性がある主要都市

【ポイント】

  1. 高速鉄道は安定的に大量の旅客を輸送できる手段で、その整備は沿線の経済効果が高い。日本や韓国、台湾、中国で成功を収めており、大都市が点在する東南アジアでも開発余地は大きい。
  2. 高速鉄道は航空機と比べると、都市間距離が150~800キロメートルだと優位性がある。東南アジアで都市間距離と人口規模をベースに有望な区間を調べたところ、バンコク―プノンペン―ホーチミンが最も有望で、ヤンゴンなどへの延長も考慮に値することが分かった。すでに計画のあるジャカルタ―スラバヤ(ジャワ島)も沿線に大都市が多く経済効果が期待できる。
  3. 日本で東海道新幹線が開業した時期(1964年)に比べ、東南アジアは既に大都市間を安価なバスや航空路線が充実している。高速鉄道が経済的に成功するには料金体系の工夫などが必要だ。敷設費用についても財政難の国が多く、民間資金を活用することが重要になる。
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから

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