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中国・アジアウォッチ

アジア通貨危機再来はあるか?

――購買力平価ではリンギ除き割高
ルピア、リンギの脆弱度高く、人民元にも不安

上原 正詩
  アジア予測室長兼主任研究員

2017/03/31

 トランプ大統領の就任で米国経済の成長が加速し、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利引き上げのペースを加速するとの見方が強まっている。米金利が上昇すればアジア各国をはじめ新興国から資金が流出し、新興国通貨が対ドルで下落するとの懸念が高まっている。4年前の2013年5月、バーナンキFRB議長(当時)が量的緩和縮小を示唆して新興国通貨が大幅下落した事件「テイパー・タントラム」や、20年前の1997年7月、タイ・バーツ暴落で始まったアジア通貨危機の再来が危惧される。

通貨脆弱度ランキング

【ポイント】

  1. 米連邦準備制度理事会が政策金利引き上げのペースを加速するとの見方が広がっている。米金利が上昇すれば、アジア各国をはじめ新興国から資金が流出し、新興国通貨が対ドルで下落するとの懸念が高まっている。
  2. アジア各国の通貨、特に中国・人民元とタイ・バーツは米国との金利差(各国金利-米国金利)が縮小すると割安になる傾向がある。購買力平価で見ると、マレーシア・リンギを除く4通貨(人民元、バーツ、インドネシア・ルピア、フィリピン・ペソ)は対ドルで割高に評価されている。
  3. 経常収支、対外債務などの経済指標から世界約200カ国・地域の通貨脆弱度ランキングを算出した。2015年はインドネシア、マレーシアの脆弱度が高い。タイ、フィリピンは通貨危機前年の1996年に比べて大幅に脆弱度は改善した。中国は順位に大きな変化はなく中間近辺に位置しているが、人民元は下落傾向が続いており、外貨準備が激減する中で不安が広がっている。
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