朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免に伴う大統領選挙の結果、野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選し、韓国は9年ぶりに革新政権の時代となった。選挙戦を通じて文候補は最優先の政策課題として「積弊」の清算と「腐敗」の根絶、そして「雇用」の創出と「格差」の是正を取り上げた。「韓国新政権の政策と課題」の(下)では、新政権の経済運営と経済政策に焦点を当てる。
【(下)のポイント】
- 2017年上半期の韓国経済は輸出好調による景気好転の可能性があり、文在寅新政権に追い風となっている。しかし、景気の好転は世界経済と韓国との関係変化、そして国内経済の構造的問題点により、一時的な現象に終わる可能性もある。
- 新政権は雇用創出と、格差・不平等の是正を優先課題に掲げた。保守政権の「成長」優先から「雇用・福祉」優先への政策転換であり、日本における民主党政権発足時(09年)の公約と類似したところもある。雇用確保と福祉のための財政支出拡大、財源確保のための富裕層への増税を提示している。
- 経済の持続的成長のためには主力産業の再編と競争力強化のための制度改革(税制、金融)を早期に実現することが不可欠で、国内需要の拡大を通じた成長戦略も必要である。新政権が選挙で掲げた「雇用・福祉」優先アプローチは今後、産業再編の「成長戦略」のアプローチと統合する必要があり、それらの両立をめぐって経済運用・経済政策の試練が予想される。
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