世界中が注目する中国共産党大会の開催が今秋に迫ってきた。5年に1度の重要会議を前に、習近平政権は国内のリスク要因の封じ込めに躍起になっている。経済政策では金融引き締めや規制強化により、やや過熱しかけた景気を冷まし、大きな波乱を避ける構え。バブルの懸念が付きまとう住宅販売がここに来て急速に減速、金融リスクを招きかねない大手企業の対外投資もペースダウンしている。一方、最大の経済リスクとされる地方政府の債務問題では、債務の質的な転換を促す姿勢も打ち出した。一連の政策は習政権が発足以来、一貫して訴えてきた構造改革につながるものでもあり、確固たる政権運営の方針を示すことで党大会を乗り切ろうという、指導部の狙いがうかがえる。
【ポイント】
- 中国で5年に1度の共産党大会の開催が迫ってきた。党大会では習近平総書記(国家主席)の一段の権威付けと党幹部の人事が大きな焦点。指導部は万全の態勢で会議に臨むため、国内の波乱要因を取り除くのに躍起だ。
- 経済面ではバブルの懸念がある不動産取引の規制強化や金融引き締めによって、今年前半はやや過熱気味だった景気の抑制に取り組んでいる。
- 思想面でも締め付けが強化される一方で、政権は公約である構造改革にも力を入れる構え。党大会関連の動きにより、今年後半の経済成長は前半に比べると、ペースダウンは避けられない。
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