北京市で18日から開かれていた第19回中国共産党大会が24日、閉幕した。翌25日には第19期中央委員会第1回全体会議が行われ、最高指導部の政治局常務委員や政治局員らの顔ぶれも決まった。今回の党大会は2期目となる習近平政権の権威をより高め、政権基盤を強固にするための議論が全面的に繰り広げられた。習近平党総書記(国家主席)は21世紀半ばまでに、国民生活を豊かにして国際的な影響力を持つ「現代化した社会主義強国を建設する」という長期ビジョンも表明。自らを中核として中国が真の超大国へ突き進む「習の中国」を、国内外に強く訴える内容となった。ただ、発展途上国から先進国へと脱皮するためには経済の安定的な成長維持が欠かせない。党大会での習氏の演説や議論は経済発展のための具体的な処方箋に欠けており、理念先行の印象も強く残った。
【ポイント】
- 中国で5年に1度の共産党大会が閉幕した。習近平総書記(国家主席)は自身の権威を一段と高めるとともに、新しい指導部の過半を側近で固めることに成功。毛沢東、鄧小平氏と並ぶ最高指導者となったことを強く訴える結果となった。
- 21世紀半ばまでに国民生活を豊かにして国際的な影響力を持つ「現代化した社会主義強国を建設する」という長期ビジョンも発表。中国が真の超大国への突き進む道標を示した。
- もっとも、豊かな経済力を持つ大国へと進むための方策は具体性に欠く。債務問題の解決など中期的な課題は山積しており、これらにどう取り組むのか。習氏の新たな戦略が注目される。
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※本リポートに連動して、当センターの会員向けに、10月18日に習近平総書記が演説した政府活動報告全文の日本語訳を掲載しております。ご参照ください。
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