インドでIT(情報技術)などテクノロジーを利用したスタートアップの創業が活発になっている。同国のスタートアップ数は1万社を超え、世界でも有数の起業大国となった。スマートフォン(スマホ)の爆発的普及でどこでもだれでもインターネットが利用できるようになり、動画アプリやフィンテック関連のスタートアップが躍進している。ブームの根底には長年に渡るIT技術者の育成とその蓄積がある。2014年に誕生したナレンドラ・モディ政権が16年から起業支援に本格的に取り組み始めたことも流れを後押ししている。日本経済研究センターでは“起業旋風”吹き荒れるバンガロール(カルナータカ州)、デリー首都圏、アーメダバード(グジャラート州)、ジャイプル(ラジャスターン州)の4都市を3月に訪問し、各地のスタートアップ生態系(エコシステム)を調査した。本リポートは4回シリーズの第2回。
【第2回のポイント】
- バンガロール(カルナータカ州)は「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、政府系研究機関、多国籍企業の研究所などが集積する。スタートアップを輩出する起業都市でもあり、最近ではフィンテック関連に注目が集まる。
- 各種決済手段をネット企業向けに提供するレイザーペイ(Razorpay)はジャイプル(ラジャスターン州)で創業し、顧客や人材を求めてバンガロールに本社を移した。実店舗向け決済代行サービスのイーズタップ・モバイル・ソリューションズ(Ezetap Mobile Solutions)は米国から帰国した創業者2人がバンガロールで創業した。
- プライム・ベンチャー・パートナーズ(Prime Venture Partners)などバンガロールを拠点とするベンチャーキャピタル(VC)もフィンテックを重点投資分野にする。アクシロール・ベンチャーズ(Axilor Ventures)は人工知能(AI)や「IoT」などディープテック投資にも力を入れる。
◆関連レポート◆
シリーズ企画「インド創業旋風」
・【第1回】スタートアップ急増、世界に伍す スマホ利用急拡大、人材蓄積が強みに
・【第3回】デリー、衛星都市と起業ハブ結成 工科大学やIT業界団体が旗振り
・【第4回】アーメダバードなど地方にも拡大 ジャイプルでは社会起業家育成
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