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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「インド創業旋風」 (第4回)

アーメダバードなど地方にも拡大

ジャイプルでは社会起業家育成

上原 正詩
  主任研究員

2018/05/10

 インドでIT(情報技術)などテクノロジーを利用したスタートアップの創業が活発になっている。同国のスタートアップ数は1万社を超え、世界でも有数の起業大国となった。スマートフォン(スマホ)の爆発的普及でどこでもだれでもインターネットが利用できるようになり、動画アプリやフィンテック関連のスタートアップが躍進している。ブームの根底には長年に渡るIT技術者の育成とその蓄積がある。2014年に誕生したナレンドラ・モディ政権が16年から起業支援に本格的に取り組み始めたことも流れを後押ししている。日本経済研究センターでは“起業旋風”吹き荒れるバンガロール(カルナータカ州)、デリー首都圏、アーメダバード(グジャラート州)、ジャイプル(ラジャスターン州)の4都市を3月に訪問し、各地のスタートアップ生態系(エコシステム)を調査した。本リポートは4回シリーズの最終回。

インドの主要起業都市

【第4回のポイント】

  1. インドで起業ブームが起きているのはデリー、バンガロール、ムンバイの主要3 都市だけではない。プネ、ハイデラバード、チェンナイなど2級都市にもスタートアップ熱は広がっている。
  2. モディ首相の地盤であるグジャラート州では、商都アーメダバードで州政府系の「起業家精神・技術国際センター(iCreate)」やインド経営大学院アーメダバード校(IIMA)系の「技術革新・起業支援・起業家精神センター(CIIE)」が起業家育成に乗り出している。
  3. ラジャスターン州ジャイプルでは、CIIEと州政府が出資するスタートアップ・オアシス(Startup Oasis)が社会的な問題をビジネスで解決する社会(ソーシャル)起業家育成に力を入れる。マラビア国立工科大学ジャイプル校(MNIT)も地元密着の支援に乗り出し、起業家精神を中等教育にも広げようとしている。

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