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Discussion Paper Discussion Paper 138 (2012.8)

[No.138] 環境・エネルギー政策を評価する動学的CGEモデル―その特徴と分析手法に関するノート―

舘祐太 研究員
   
小林 辰男
  政策研究室長兼主任研究員
落合 勝昭
  特任研究員

2012/08/14

要 旨

 我が国のエネルギー計画の策定が大詰めを迎えている。電源構成や温暖化ガスの排出削減の度合いに応じた代替案がある中で、経済成長や電気料金がどの程度影響を受けるのかを計量的に評価することが重要である。日本経済研究センターでは従来からの動学的CGEモデル(JCER-CGEモデル)に改良を加え、これを用いて本年5月に資源エネルギー庁の調査会で試算結果を報告したほか、今後の事故リスク対応費用がどこまで膨らめば脱原発をした方が経済的に有利になるかという試算を公表した。本稿は、これらの試算に用いたJCER-CGEモデルの特徴を説明し、分析手法をまとめたノートである。  今回の試算に当たっては、火力発電部門を化石燃料の種別で3つに分け、Leontief型の生産関数に特殊生産要素を入れ、この賦存量を調整することで電源毎の発電量をコントロールし、資源エネルギー庁の提示に基づく試算を行った。また、原発事故のリスク対応費用に関するシミュレーションでは、電力財に対して「電力税」を設定し、その税金の大きさを保険料とすることで、脱原発と原発維持の「臨界点」を試算している。  環境・エネルギー政策を評価するためのJCER-CGEモデルはなお改良の余地を残す。ただ、本年5月の資源エネルギー庁の調査会で報告のあった他の試算結果と比較すると、数字に多少の差があるものの、方向性に大きな違いは見られないようである。

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