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中国・アジアウォッチ

マレーシア政権交代

新政策、代替財源やプロジェクト見直しに注目
短期的に不確実性、通年では成長ペース維持

ワン・スハイミ氏 (寄稿)・ケナンガ・インベストメントバンク・経済部長
   

2018/05/14

 マレーシアで建国以来初の政権交代が実現した。JCER/Nikkei「アジア・コンセンサス」調査回答者のケナンガ・インベストメントバンクのワン・スハイミ経済部長に、選挙結果の分析や経済の行方を展望するレポートを寄稿してもらい、その内容を紹介する。

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【ポイント】

  1. 野党連合「希望連盟」の勝利の背景には、政府系ファンド「1MDB」の資金流用疑惑などに対する国民の怒りがあった。さらに物価上昇などにより、経済成長の恩恵が生活水準上昇に結び付かなかった不満がある。ただ事前予想ではこうした変化を読み切れず、選挙結果は驚きを持って受け止められた。
  2. 新政権の政策で特に注目するのは消費税(GST)の廃止と、それに代わる新税導入や歳出削減の具体策だ。インフラなど大規模プロジェクトの再点検・見直しも焦点だ。中国が関わるプロジェクトの見直しも行われるが、マレーシア・中国関係全体に大きな変化が生じることはない。
  3. 政権交代は短期的には不確実性を高める。しかし政策の移行は全体的に適切に行われ、2018年の経済は5.5%成長のペースを維持できると予想する。
関連レポート
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・アジア・コンセンサス調査

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