国際送金市場が成長を続けている。移民数の増加などグローバル化の深化が背景で、2017年の市場規模は過去最高になったもようだ。100年を超える歴史をもつ送金ビジネスは、長らく先進国の銀行と送金専門事業者の二者がほぼ独占してきた。だが近年の市場規模の拡大が刺激となり、足元では新興国を含めた携帯通信、モバイル決済、ブロックチェーン(分散型台帳)の企業など新勢力の参入が相次ぐ。利用者の支払うコスト(手数料)の下落も進んでいる。かつてないほどの盛り上がりをみせる送金ビジネスの現状について、全2回にわたりレポートする。
【(下)のポイント】
- 「ブロックチェーン(BC、分散型台帳)」技術を使った国際送金ビジネスが2010年代後半から注目を集めている。モバイル送金に続く「送金4.0」の流れとして、低コストで安全な送金が実現できるのではないかと期待されている。
- 国際送金ビジネスの世界の縮図ともいえる状況にあるのがフィリピンだ。同国への送金市場は世界3位で、名目GDP比で1割と経済規模に占める割合も高い。20年近く連続で年平均10.3%のプラス成長が続き、競争も激しくなっている。
- 銀行、送金専業に加え、手数料が従来の数分の1になるとするBC送金業者も参入。激しい競争を映し同国への送金手数料は世界有数の低さだ。フィリピン経済は国際送金に依存する割合も高く、手数料減による景気押し上げ効果もありそうだ。
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