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金融研究

日銀が直面する金融政策運営のジレンマ
―出口を目指しても緩和を継続しても、国民負担につながる恐れ―

2017年度金融研究班報告③

主査:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員
総括:高野 哲彰
  副主任研究員
委託研修生:牛田雅人、富田泰弘、福山翔士、谷中崇能
   
監修:岩田 一政
  代表理事・理事長

2018/03/13

日銀の異次元緩和が6年目に入る。バランスシートの縮小を進めるFRBは、金融正常化の過程で損失の発生を回避できる見通しだが、日銀は10兆円を上回る損失が予想され、金融正常化と財務の健全性確保の間で難しい舵取りを迫られる。異次元緩和の長期化は損失の先送りに過ぎない。この間にも銀行の利ざやは縮小し、金融仲介機能を低下させかねない。結局、日銀は出口を目指しても緩和を継続しても、国民負担につながるというジレンマを抱え、中央銀行の独立性の問題にぶつかる。将来の通貨発行益(シニョレッジ)で損失を取り戻せるのか。異次元緩和の副作用や出口の見通しを明らかにし、利益と損失の配分について、政府と取り決めを結ぶべきではないか。