日銀の異次元緩和が6年目に入る。バランスシートの縮小を進めるFRBは、金融正常化の過程で損失の発生を回避できる見通しだが、日銀は10兆円を上回る損失が予想され、金融正常化と財務の健全性確保の間で難しい舵取りを迫られる。異次元緩和の長期化は損失の先送りに過ぎない。この間にも銀行の利ざやは縮小し、金融仲介機能を低下させかねない。結局、日銀は出口を目指しても緩和を継続しても、国民負担につながるというジレンマを抱え、中央銀行の独立性の問題にぶつかる。将来の通貨発行益(シニョレッジ)で損失を取り戻せるのか。異次元緩和の副作用や出口の見通しを明らかにし、利益と損失の配分について、政府と取り決めを結ぶべきではないか。
- 全文 「日銀が直面する金融政策運営のジレンマ」JCER NETメンバー限定
- 総論 「第2期黒田日銀――金融正常化への道筋は見えるか」
- 第2章「世界に先駆けてバランスシート縮小に着手したFRB」JCER NETメンバー限定
- 第3章「出口で発生する日銀の損失」JCER NETメンバー限定
- 第4章「政府が補填しない場合――通貨発行益(シニョレッジ)の配分という問題」JCER NETメンバー限定
- 第5章「日銀が債務超過に陥ると何が起きるか」JCER NETメンバー限定
- 第6章「なぜQQEで物価は上がらなかったのか」JCER NETメンバー限定
- 第7章「金融政策運営のジレンマ――進退窮まる日銀の金融政策」JCER NETメンバー限定
- 補論 「シニョレッジの理論的背景」JCER NETメンバー限定
- 付表 「金融政策年表」JCER NETメンバー限定
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