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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「転機の朝鮮半島」 (第6回)

インフラ連結、経済協力の推進で合意

――韓国大統領訪朝、実現性は非核化次第

伊集院 敦
  首席研究員

2018/09/20

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18-20日、平壌などを訪問し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)と会談した。両首脳は「9月平壌共同宣言」に署名し、南北の交流と協力を拡大することで合意。経済分野では鉄道・道路連結の着工式を年内に行い、開城工業団地や金剛山観光などの協力事業の再開を目指す方針を打ち出した。今回の訪朝には韓国財閥の首脳らも同行、金正恩委員長が近い時期にソウルを訪問することも固まり、南北の関係発展を印象付けた。しかし、米国などは北朝鮮への経済制裁を維持する姿勢を崩していない。合意事項が南北の思惑通りに進むかどうかは最大の懸案である非核化の進展にかかっており、朝鮮半島情勢の焦点は第2次首脳会談の実現も視野に入れた米朝間の攻防に移る。

ソウル市内

【第6回のポイント】

① 今年3度目となる南北首脳会談では焦点の非核化問題とともに、南北の交流・協力拡大に力点が置かれ、鉄道・道路のインフラ連結や工業団地・観光などの具体的な経済協力プロジェクトが首脳宣言に明記された。

② 経済建設に政権運営の軸足を移し始めた金正恩国務委員長と、経済協力によって北朝鮮の柔軟姿勢を引き出そうとする文在寅大統領の思惑が一致した格好だ。南北協力を経済浮揚の起爆剤にしたい思惑は韓国側にもあり、韓国の公企業や主要財閥のトップらも大統領の訪朝に同行した。

③ 米国などは北朝鮮への経済制裁を維持する姿勢を崩しておらず、国連の場などで関係国の攻防が続いている。南北の経済協力プロジェクトも実現には制裁緩和が不可欠で、北朝鮮の非核化の進展が前提となる。韓国財閥の多くは対北朝鮮ビジネスに関心を示しつつリスクも強く意識しており、実現性は非核化をめぐる米朝協議の進展次第の面が強い。

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