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金融研究

預貸利ざやは地銀・第二地銀で縮小 都銀は横ばい
―都銀は6年ぶりに国債保有残高を拡大―

2018年度金融研究班報告①:銀行決算分析(18年3月期)

委託研修生:粕川詩織、加藤昇平、星田佳祐、山口達也
   
監修:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員
高野 哲彰
  副主任研究員

2018/10/12

日本銀行の強力な金融緩和のもとで、2018年3月期は全業態で貸出金利回りが低下した。預金金利はすでにゼロ%の下限値に到達しているため、全国銀行の預貸利ざやは10年連続で縮小した。特に17年度は都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の預貸利ざやが同水準に収れんした。地銀、第二地方銀行で貸出金利回りの低下が大きかったことが要因である。地方銀行や第二地方銀行では17年度も中小企業や個人向けの貸し出しを順調に伸ばしており、貸し出しを抑制した都市銀行との違いが浮き彫りになった。日銀の量的・質的金融緩和(QQE)政策の下で国債の売却を進めてきた都市銀行が、17年度末は6年ぶりに国債保有残高を増やしたことも特徴的な動きと言えよう。都市銀行は貸出金が減少する一方で預金残高が拡大したため、預貸率は60%を下回った。都市銀行がけん引する形で、全国銀行の預貸率は9年連続で過去最低水準を更新した。