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経済百葉箱 第125号

将来不安が貯蓄率を押し上げ

―労働参加の高まりは消費に結びつかず―

堂本健太、山田祐太郎、<監修>短期経済予測主査:西岡慎一、総括:宮﨑孝史
   

2018/11/22

▼ポイント▼

  • 今回の景気回復局面では、雇用者報酬の伸びに比べて、個人消費の伸びが低く、貯蓄率が上昇している。
  • 雇用者報酬の増加は、1. シニア層(65歳以上男女)、2. 共働き女性(35-64歳)、3. 外国人の雇用者増加が主因である。これらの層の労働参加は、貯蓄や海外送金を主な目的としており、所得の増加が消費の増加に結びつきにくい。
    1. シニア層では、これまで貯蓄を十分に蓄積してこなかった者の労働参加が多い。長寿リスクが高まっていることも所得を貯蓄に振り向ける動機となっている可能性がある。
    2. 共働き女性では、団塊ジュニア世代の労働参加が多い。この世代は、男性の賃金が伸び悩んでおり、貯蓄の蓄積ペースが遅い。配偶者の所得補填が動機となっている。
    3. 外国人労働者の多くは、母国への送金を就業の動機としており、所得が国内の消費に波及しにくい。
  • いずれの層も消費を控える背後には将来不安がある。労働参加を内需の活性化に結びつけるためにも、雇用制度改革や社会保障改革など将来不安の解消に向けた取り組みが重要である。

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