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中国・アジアウォッチ

外国人労働者活用:制度維持に厳格運用がカギ

シンガポール、日本の受け入れ拡大に注目

日下 淳
  ジャーナリスト(外部委託) 

2018/11/30

 全就業者の3分の1を外国人が占めるシンガポール経済は、外国人労働者なしに成り立たない。政府や国会は外国人労働者政策を重視し、専門家による研究も盛んだ。シンガポール社会科学大学応用研究センターでディレクターを務めるランドルフ・タン准教授へのインタビューをベースに、同国外国人労働市場の現状や動向を報告する。タン氏は2014-18 年前半、この問題に関する国会の委員会のメンバーを務めた。JCER/Nikkei「アジア・コンセンサス」調査の回答者でもある。

シンガポールの建設現場で働く外国人労働者

【ポイント】

①シンガポールは外国人労働者活用の先進国で、外国人は全就業者の3分の1を占める。経済発展に必要な人材確保と社会の安定維持を両立させるため、試行錯誤の上に制度を組み立ててきた。

②同国で働く全外国人動労者は就労ビザの取得が必要で、賃金や労働条件が定められ、当局への定期的な報告などが義務付けられている。入国管理や登録手続きなどは厳格に運用され、不法滞在や雇用者による法令違反などの問題はほとんどない。

③同国は、周辺アジア諸国や世界の外国人労働者政策に常に注意を払い、情報収集に努める。日本が外国人労働者受け入れを拡大する新政策の行方には、多大な関心を寄せる。
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アジア・コンセンサス2018年10月調査 (第11回 / 2018年~2020年)

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