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金融研究

異次元緩和の下で地域銀行の金利リスク量が増大
―2019年3月期から国内基準行に金利リスクの新基準―

2018年度金融研究班報告②:地域金融機関の抱えるリスク

主査:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員
総括:高野 哲彰
  副主任研究員
委託研修生:粕川詩織、加藤昇平、星田佳祐、山口達也
   

2018/12/25

日本銀行の異次元緩和は、金融機関から長期国債を大量に買い入れ、安全資産利子率を押し下げることで、金融機関のリスクテイクを促してきた(ポートフォリオ・リバランス効果)。この間、地方銀行や第二地方銀行、信用金庫など地域金融機関はいっせいに国債保有量を減らし、不動産や住宅ローンを中心とする貸し出しのほか、外債や株式などリスク性資産を増やしてきた。だが、2019年3月期から国内基準行には銀行勘定の金利リスク(IRRBB: Interest Rate Risk in the Banking Book)の新たな計測基準が導入される。一部の地域金融機関では、過度な金利リスクを取ってきた実態が表面化する恐れがある。人口や企業の減少が顕著な地域では借り入れ需要が低迷し、地域金融機関の利ざやに縮小圧力がかかり続ける中で、IRRBBの見直しは潜在的な収益の下押し要因となる。今後はバーゼルⅢを受けた新国内基準の経過措置も段階的に終了していく。