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経済百葉箱 第129号

原油安、輸入国への所得流出36兆円

―産油国の金融リスクに要警戒―

小川祥恵、<監修>短期経済予測主査:西岡慎一、総括:宮﨑孝史
   

2019/03/20

▼ポイント▼

    • 最近の原油価格の下落で、産油国から所得が流出している。単純な試算では、2018年後半の下落局面で、原油輸出国から輸入国へ約3300億ドル(約36兆円)の所得が流出している。こうした所得移転は、通常、世界全体の成長率にプラスに作用する。原油輸入国には限界支出性向が高い先進国が多く、移転された所得は消費や投資に結びつきやすいことがこの背景にある。
    • もっとも、原油価格の下落が産油国の金融リスクを顕在化させる場合、マイナスの効果が大きくなる点には注意を要する。一部の原油輸出国は、対外収支の面で脆弱性を抱えている。原油価格の下落が経常収支や財政収支の悪化を招き、通貨が大きく下落するリスクがある。通貨の下落は、①インフレにより経済が悪化するほか、②ドル建て債務の(自国通貨建て)返済負担を膨らませることでデフォルトにつながり、経済の悪化を増幅させうる。近年、産油国の側面が強まっている米国でも、原油価格の一段の下落がシェールオイル関連企業の財務内容を悪化させ、デフォルト圧力を強めるおそれがある。
    • 18年後半以降、世界経済の減速感が強まっている。先行きの不透明感も強く、国際金融市場はリスクオフに転じやすい。原油をはじめ広範囲な資源価格の下落が、資源国経済を悪化させ、金融面のリスクを高める可能性には警戒が必要である。

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