中国において、日本企業はどのような点に注意し、ビジネスを展開していくべきか。激しく変動するマクロ経済の動向や相次ぐ法律・規制の変更、さらには複雑化する国際情勢などによって、ますます、その答えは難しくなっている。日本経済研究センターでは、各方面の専門家にインタビューし、中国ビジネスにまつわる最新の問題やトピックスを分かりやすく解説していく。第2回は、ジェトロ北京事務所副所長の日向裕弥氏に「外商投資法とは、何なのか?」というテーマで、今年3月の全国人民代表大会(全人代)で新しく制定された同法の成立経緯や意義、日本企業への影響などを聞いた。
【第2回のポイント】
- 3月に成立した外商投資法は、突然、浮上したわけではない。商務省が中心となり、2011年ごろから外資に関わる新しい法律の研究が本格化し、15年には「外国投資法」(当時の名称)の草案が作られた。ただ、関係省庁が多岐に渡り、調整に手間取ったため、法律の成立には至らなかった。
- 今回の新法は外国投資法(草案)に比べて、非常にシンプルになったので、細かい内容が明確でない点が多い。合弁会社など外資は会社の定款変更がいずれ求められるが、具体的な方策は今後発表される実施細則を注視して考える必要がある。
- 外商投資法の意義は外資に関わる法律が一本化され、明確になった点にある。米国が強く要請する技術移転の強制禁止についても新法は規定しているが、日本企業はこの問題を深刻視していない。技術移転は企業が交渉で決めるテーマであり、政府の干渉をあまり心配していないからだ。
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※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
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