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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「北米、飛躍する起業都市」 (第6回)

バンクーバー、デジタル娯楽産業が勃興

「カスカディア回廊」と新移民政策が追い風に

上原 正詩
  アジア予測室長兼主任研究員

2019/06/20

 日本経済研究センターではデジタル経済をけん引する米国西海岸の3都市圏(サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル)、さらにカナダのバンクーバーを3月に訪問し、アクセラレーターを中心にエコシステムの実態や地域経済との関係、新しいイノベーションのトレンドを探ってきた。特に米国3都市圏は第4回アジア中期予測「アジア、浮かぶ都市、沈む都市」で、2030年時点の1人当たり名目地域総生産(GRP)で77都市中トップ5に入ると予測された都市である 。本シリーズでは、スタートアップのデーターベース分析と合わせて、北米のスタートアップ都市の秘密をリポートする。本レポートはその第6回(最終回)。

バンクーバー・ルックアウトからバンクーバー湾を望む

【第6回のポイント】

  1. バンクーバーはカナダ第3位の都市圏であり、映画やゲームなどの産業の蓄積を生かし、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの「XR」、そしてブロックチェーン(分散型台帳、DLT)を使った娯楽産業が勃興しつつある。
  2. サイモンフレーザー大学(SFU)系のベンチャーラボズや民間のローンチ・アカデミーなどのインキュベーション施設からは、バートロ・エンターテインメントなど「XR」系スタートアップが育っている。
  3. 民間のベンチャースタジオ、アクシアム・ゼンからは世界初のDLTを使ったゲーム「クリプトキティーズ」が生まれ、同社からスピンオフしたダッパー・ラボズが次世代ゲーム・プラットフォーム企業を目指している。
  4. シアトルなどと経済連携を目指す「カスカディア・イノベーション回廊」構想や、海外のハイテク人材を積極的に受け入れるカナダ政府の移民政策も、バンクーバーがテック都市となる追い風となっている。
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