中国の習近平国家主席が6月20-21の両日、北朝鮮の首都・平壌を訪問し、金正恩委員長と会談した。大阪での主要20カ国・地域(G20)首脳会議の直前の訪問は米中関係や非核化問題との関係で注目されたが、両首脳は経済分野での協力拡大も確認。習主席は北朝鮮の経済発展に向け、国連制裁緩和への取り組み、経済政策などのノウハウ提供、制裁の対象外の取引――の3段階で協力する意向を表明した。制裁で苦境に立つ北朝鮮は中国の支援を歓迎しており、北朝鮮経済が当面、中国依存度を一段と高める可能性がある。
【第2回のポイント】
① 習主席は首脳会談で、非核化の段階ごとに制裁緩和などの見返りを与えるという北朝鮮側の主張に理解を示した。非核化交渉の促進に向け、国際的な議論の対象になる可能性がある。
② 金委員長は経済発展に向け中国の経験を学ぶ姿勢を示し、習主席は幹部研修などで支援する考えを示した。北朝鮮側が経済政策で中国式の改革・開放をどこまで取り入れるかが注目される。
③ 習主席は国連制裁の対象外である観光、民生分野などでの協力を打ち出した。制裁で苦境に立つ北朝鮮の経済にとっては貴重な収入源にもなるが、中国依存の度合いが一段と高まり、他国との関係に影響を及ぼす可能性もある。
① 習主席は首脳会談で、非核化の段階ごとに制裁緩和などの見返りを与えるという北朝鮮側の主張に理解を示した。非核化交渉の促進に向け、国際的な議論の対象になる可能性がある。
② 金委員長は経済発展に向け中国の経験を学ぶ姿勢を示し、習主席は幹部研修などで支援する考えを示した。北朝鮮側が経済政策で中国式の改革・開放をどこまで取り入れるかが注目される。
③ 習主席は国連制裁の対象外である観光、民生分野などでの協力を打ち出した。制裁で苦境に立つ北朝鮮の経済にとっては貴重な収入源にもなるが、中国依存の度合いが一段と高まり、他国との関係に影響を及ぼす可能性もある。
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