3回目の米朝首脳会談など北朝鮮と国際社会との非核化をめぐる駆け引きが続く中、北朝鮮の経済動向に関心が集まっている。韓国の大韓貿易振興公社(KOTRA)が7月19日に発表した「2018年北朝鮮の対外貿易動向」報告書の内容を紹介しながら、北朝鮮の貿易をめぐる動向を分析する。
【第5回のポイント】
① KOTRAの調査結果によると、2018年の北朝鮮の対外貿易規模は前年比48.8%減の28.4億ドルとなり、30億ドルを下回る結果となった。 輸出は2.4億ドル(前年比86.3%減)、輸入は26億ドル(同31.2%減)で、貿易赤字は23.6億ドル(同17.5%増)に膨らんだ。
② 国連安保理の制裁が北朝鮮の輸出入に大きな影響を与えたのが主な原因である。石炭などの鉱物性燃料や水産物、衣類の輸出減と、産業用機械類や電気機器などの輸入減の影響が大きい。
③ 北朝鮮最大の貿易相手国は中国だ。対中貿易規模は27.2億ドル(輸出2億ドル、輸入25.2億ドル)と前年比48.2%減少したものの、北朝鮮の貿易総額に占める割合は95.8%と過去最高を記録した。
④ 北朝鮮の貿易の将来は朝鮮半島の非核化をめぐる米朝交渉などで、国連制裁の緩和を実現できるかどうかにかかっている。
① KOTRAの調査結果によると、2018年の北朝鮮の対外貿易規模は前年比48.8%減の28.4億ドルとなり、30億ドルを下回る結果となった。 輸出は2.4億ドル(前年比86.3%減)、輸入は26億ドル(同31.2%減)で、貿易赤字は23.6億ドル(同17.5%増)に膨らんだ。
② 国連安保理の制裁が北朝鮮の輸出入に大きな影響を与えたのが主な原因である。石炭などの鉱物性燃料や水産物、衣類の輸出減と、産業用機械類や電気機器などの輸入減の影響が大きい。
③ 北朝鮮最大の貿易相手国は中国だ。対中貿易規模は27.2億ドル(輸出2億ドル、輸入25.2億ドル)と前年比48.2%減少したものの、北朝鮮の貿易総額に占める割合は95.8%と過去最高を記録した。
④ 北朝鮮の貿易の将来は朝鮮半島の非核化をめぐる米朝交渉などで、国連制裁の緩和を実現できるかどうかにかかっている。
◆関連レポート◆
朝鮮半島経済研究会・朝鮮半島リポート
シリーズ企画「転機の朝鮮半島」
・【第1回】南北首脳会談で見せた北朝鮮の対話戦略――経済建設に軸足シフト、制裁緩和狙う
・【第2回】文在寅政権が描く「朝鮮半島の新経済地図」――南北経済共同体、北東アジア協力も視野
・【第3回】詰めを残した米朝首脳会談の政治的ディール――後続の対話プロセス、経済問題も焦点に
・【第4回】国連制裁の影響が表れ始めた北朝鮮経済――17年の貿易が大幅減、中国依存度さらに上昇
・【第5回】経済制裁が北朝鮮の生産活動にも打撃――マイナス成長、5ヵ年戦略達成に暗雲
・【第6回】インフラ連結、経済協力の推進で合意――韓国大統領訪朝、実現性は非核化次第
◆書籍・報告書のご案内◆
2018年度アジア研究報告書「岐路に立つ朝鮮半島」(19年3月)
『朝鮮半島 地政学クライシス ―激動を読み解く政治経済シナリオ』(17年6月)
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
朝鮮半島経済研究会・朝鮮半島リポート
シリーズ企画「転機の朝鮮半島」
・【第1回】南北首脳会談で見せた北朝鮮の対話戦略――経済建設に軸足シフト、制裁緩和狙う
・【第2回】文在寅政権が描く「朝鮮半島の新経済地図」――南北経済共同体、北東アジア協力も視野
・【第3回】詰めを残した米朝首脳会談の政治的ディール――後続の対話プロセス、経済問題も焦点に
・【第4回】国連制裁の影響が表れ始めた北朝鮮経済――17年の貿易が大幅減、中国依存度さらに上昇
・【第5回】経済制裁が北朝鮮の生産活動にも打撃――マイナス成長、5ヵ年戦略達成に暗雲
・【第6回】インフラ連結、経済協力の推進で合意――韓国大統領訪朝、実現性は非核化次第
◆書籍・報告書のご案内◆
2018年度アジア研究報告書「岐路に立つ朝鮮半島」(19年3月)
『朝鮮半島 地政学クライシス ―激動を読み解く政治経済シナリオ』(17年6月)
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
バックナンバー
- 2023/09/28
-
ロ朝首脳会談と北朝鮮の経済(下)
- 2023/09/20
-
ロ朝首脳会談と北朝鮮の経済(上)
- 2023/08/24
-
日米韓と日中韓、2つの3カ国協力の新展開
- 2023/05/23
-
ポスト「冷戦後」の韓国・北朝鮮経済
- 2022/10/13
-
北朝鮮経済、建設事業頼みの「自力更生」