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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「香港『ライズ』に見るテクノ地政学」 (上)

貿易戦争で米中関係が焦点に

――インド、東南アジアに投資機会

上原 正詩
  主任研究員

2019/08/14

 イノベーションへの関心が高まる中、世界各国でスタートアップとベンチャーキャピタル(VC)を集めたテックイベントが盛んに開催されている。香港のテックイベント「ライズ(RISE)」は今年で5年目を迎え、アジア最大級のイベントに成長した。7月9~11日に開かれた「ライズ2019」に参加し、テクノロジーやイノベーションを巡る地政学、投資家が注目する技術分野などを探ってきた。

テックイベント「ライズ(RISE)」の入口

【(上)のポイント】

  1. アジア最大級のテックイベント「ライズ(RISE)」が香港で7月に開催された。米中を代表するユニコーン企業などのトップが相次ぎ講演し、貿易摩擦への関心が高まる中、米中関係がイベント参加者の主要な関心事であることを印象付けた。
  2. パネル展示したスタートアップや参加した主要ベンチャーキャピタル(VC)の顔ぶれを分析すると、米中の投資家が東南アジアやインドのスタートアップへの投資機会を探る、という構図が浮かび上がる。
  3. 米著名ベンチャーキャピタリストは「次にインターネット利用者が増えるのはインド、東南アジア、南米」と語り、今後10年でこうした地域でユニコーン企業が輩出すると予測する。足元の中国へのVC投資が落ち込む中、同国の積極的なデジタル・インフラストラクチャー投資を評価する意見も聞かれた。
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