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経済百葉箱 第139号

米中摩擦の不確実性、日本の生産を下押し

―世界的な設備投資減速の影響大きく―

圓花弘樹、津久井大介、宗像藍子 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一、総括:田中顕
   

2019/09/24

▼ポイント▼

        • 中国では、経済政策不確実性指数がかつてないほどに高まっている。これが世界的な設備投資の減速を生み、日本の生産減少にもつながっている可能性がある。
        • 近年の研究では、同指数が上昇すると、海外の経済活動に負の影響を及ぼすことが報告されている。不確実性が高い状況下では、設備投資の延期が合理的な経営判断になりうることを反映している。投資した設備の除却や売却は容易ではないからだ。
        • 日本と中国のデータを用いた分析によると、中国の不確実性が高まると日本の生産が有意に押し下げられるとの結果を得た。特に資本財や電子部品・デバイスに対して強く働く。設備投資に使われる資本財や、その部品となる電子部品・デバイスがより強く影響を受けるものと考えられる。
        • 米中協議は難航しており、不確実性が高い状況が続く恐れがある。これが企業の様子見姿勢を強め、生産・輸出・設備投資を一段と冷え込ませる可能性には注意を要する。

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