一覧へ戻る
研究員報告

実質実効レートに基づく対ドル均衡値の推計

渡部 肇
  主任研究員
小野寺 敬
  首席研究員
田原 健吾
  データサイエンス研究室長兼主任研究員

2019/09/27

本稿は日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同算出した均衡為替レートについて、日本経済新聞(2019年6月26日付朝刊1面)の報道を解説したニュースコメント(小野寺・渡部・田原(2019))を基に、大幅に加筆・修正し、テクニカルペーパーとしてまとめたものである。

主要国・地域通貨の為替相場の水準が割高・割安かを客観的に評価するために用いられる均衡為替レートは、実質実効為替レート(REER)を使うことが多いが、実用上は円・ドルなどの2通貨間レートで示すのが一般に分かりやすい。本稿は11カ国・地域のREERベースの均衡為替レートを推計するとともに、それと整合的な形で対ドル均衡値を推計する方法と主な分析結果をまとめたものである。

対ドル均衡値は次の手順で求める(下図)。(1) 四半期の時系列データを整備の上、11通貨のREERを対象に、各国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映した理論値を推計する、(2) これを基に、貿易相手国・地域との貿易ウエートを使って連立方程式の解として2通貨間の均衡為替レートに換算する。こうして求めた対ドル均衡値は市場実勢レートの割安・割高を評価できるだけではなく、米国の利下げなどのファンダメンタルズの変更の影響も試算できる。

均衡レートの計算フロー

旧サイト掲載分(~2018年3月)はこちらをご覧ください。