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朝鮮半島リポート (第8回)

徐々に進む中朝国境のインフラ整備

制裁緩和後の協力見据え、両国が準備

朝鮮半島経済研究会
   

2019/09/06

 中国と北朝鮮が両国の国境インフラの整備を進めている。両国は10月の国交樹立70周年を前に関係強化の動きを見せており、このほど訪朝した中国の王毅国務委員兼外相は北朝鮮側との会談を通じ、友好協力関係をさらに発展させる方針を確認した。現時点では両国の協力も国連制裁の制約を受けているものの、非核化の進展で将来、制裁が緩和される可能性も見越し、経済協力拡大に向けた準備が進められているようだ。

【第8回のポイント】

① 今年に入り、中朝の国境インフラの整備に関する報道が続いている。中国・吉林省の集安と北朝鮮・慈江道の満浦をつなぐ集安鴨緑江大橋や、中国・遼寧省の丹東と北朝鮮・平安北道の新義州を結ぶ新鴨緑江大橋が代表例だ。

② 国境には両国間の貿易取引や住民が往来するための通商口(口岸)が設けられているが、北朝鮮の核・ミサイル発射に対する制裁が2016年に本格化して以降は、その影響を強く受けている。

③ 中朝間のインフラの整備は、将来的に中国による北朝鮮地域への経済的進出を容易にするものだ。核問題が解決に向けて動き、制裁緩和が実現すれば、中国は北朝鮮の経済建設にすぐに関与できる物理的条件を整えつつあることを認識する必要があろう。

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