中国で将来の自動車産業の牽引役として期待されている、電気自動車(EV)など新エネルギー車。ここに来て、その販売に急ブレーキがかかっている。昨年来、新車市場全体が冷え込む中、新エネ車だけは前年実績を上回る販売を続けてきたが、今年7月に単月ベースでマイナスに転落。それ以来、回復の兆しは一向に見えない。背景には政府の補助金政策の削減や品質問題があり、2020年以降も大幅な回復は期待できそうにない。新エネ車は政府が自立的な産業を育成するために定めた長期目標「中国製造2025」の中でも、特に重点的な分野に位置づけられている。政府の期待をよそに、早くも中国企業は淘汰の波に洗われようとしている。
【ポイント】
- 中国の電気自動車(EV)など新エネルギー車の販売が減少している。単月ベースの販売台数は7月からマイナスに転じた。背景には補助金の削減と品質問題があり、消費者離れが深刻になってきた。
- 400社とも500社とも言われる中国の新興EVメーカーのうち、その代表である蔚来汽車(NIO)は発火事故が頻発。リコールを実施したほか、業績の低迷で大幅な人員削減にも乗り出した。同社以外でも、経営危機に直面する中小メーカーが複数ある。
- 中国政府は新エネ車を中国企業の競争力強化の柱に据えているが、市場の変動により、早くもその思惑が外れつつある。本格的な市場の回復が難しい中、企業をいかに立て直すかが注目される。
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