世界の自動車市場をリードしてきた中国の2019年の新車販売台数が18年に続いて、前年実績を割り込んだ。景気低迷による消費者の購買意欲の減退や、政府の補助金削減などが響いた。急速に伸びていた電気自動車(EV)など新エネルギー車も初めてマイナス成長に転落。これにより、政府が掲げる「2020年に200万台」という販売目標はほぼ達成が不可能な情勢だ。一方で、トヨタ自動車は前年比9.0%、ホンダは同8.5%、それぞれ増加し、過去最高を記録。中国メーカーや欧米、韓国勢が苦戦する中、19年の中国市場は日本勢の健闘ばかりが光る結果となった。
【ポイント】
- 中国の2019年の新車販売台数は前年比8.2%減の2576万9000台にとどまった。前年実績割れは2年連続。景気減速により消費者の買い控えが止まらないうえ、政府の補助金削減が追い打ちをかけた。電気自動車(EV)など新エネルギー車も初のマイナス成長となった。
- 中国メーカーや欧米勢が軒並み販売量を落とす中、日系メーカーの健闘が光った。トヨタ自動車やホンダは過去最高の販売台数を記録。好調の背景には、消費者の日本ブランドに対する高い信頼感がある。
- 業界では2020年は底打ちを期待する声が多い。ただ、外資系が相次ぎEVを本格投入する計画で、メーカー間やガソリン車と新エネ車の間の競争が一段と激しくなることが予想され、弱小メーカーは淘汰の波に洗われよう。
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