新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に影を落とす中、朝鮮半島では4月中旬、重要な政治イベントが相次いだ。韓国では4年に1度の国会議員総選挙が行われ、与党が圧勝。北朝鮮では党の政治局会議と国会に相当する最高人民会議が開かれ、自力更生で国際社会の経済制裁に立ち向かう「正面突破戦」の継続を確認した。与党の勝利を受け、韓国の文在寅大統領は目玉政策の南北経済協力の具体化を追求する構えだが、新型コロナの影響がどう作用するかは見通しづらい。南北交流の糸口に成るのか、制約になるのか、朝鮮半島の非核化と平和体制への移行の実現を目指す「朝鮮半島平和プロセス」が思惑通りに推進力を取り戻せるかどうかは不透明だ。
【第15回のポイント】
① 韓国の総選挙は与党が議席の6割を占める180議席を獲得して圧勝した。文在寅大統領は任期後半の政権基盤を固め、対外政策の看板である南北経済協力の実現にも動く構えだ。
② まずは南北協力のシンボルである金剛山の観光事業の再開を目指すが、新型コロナ問題の影響が読みにくく、医療・保健分野の協力を糸口にするアイデアも浮上している。
③ 金正恩政権は一連の重要会議で国際社会の経済制裁を自力更生の経済建設で克服する「正面突破戦」の継続を確認し、新型コロナ対策を徹底することも決めた。
④ 金正恩政権が外交政策で重視するのは対米関係だ。今後、政権基盤を固めた文在寅政権からのアプローチにどう応えるか、11月の米大統領選も見据え、関係国の新たな駆け引きが展開されそうだ。
① 韓国の総選挙は与党が議席の6割を占める180議席を獲得して圧勝した。文在寅大統領は任期後半の政権基盤を固め、対外政策の看板である南北経済協力の実現にも動く構えだ。
② まずは南北協力のシンボルである金剛山の観光事業の再開を目指すが、新型コロナ問題の影響が読みにくく、医療・保健分野の協力を糸口にするアイデアも浮上している。
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・【第6回】インフラ連結、経済協力の推進で合意――韓国大統領訪朝、実現性は非核化次第
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2019年度アジア研究報告書「制裁下の北朝鮮経済」(20年3月)
『朝鮮半島 地政学クライシス ―激動を読み解く政治経済シナリオ』(17年6月)
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
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