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中国・アジアウォッチ

コロナ禍の中国、20年は成長率目標定めず?

――有識者が不要論、無謀な景気拡大策をけん制

湯浅 健司
  首席研究員兼中国研究室長

2020/04/07

 新型コロナウイルスの感染拡大がひと段落しつつある中国では、停滞する経済の本格回復を探る動きが加速している。各地で停止していた工場の操業再開が急がれており、公式統計では製造業の景況感が改善し始めた。ただ、欧米など海外では感染拡大が止まらず、輸出に依存する産業などが「V字回復」するには、なお時間がかかりそうだ。先行きが見通せない状況の中、有識者の間で「2020年は政府による成長率の目標設定を見送るべき」との声が出始めた。

中国のGDP成長率と政府目標の推移

【ポイント】
  1. 新型コロナウイルスの感染拡大がひと段落しつつある中国だが、有識者の間で「2020年は政府による成長率の目標設定を見送るべき」との声が出始めた。無理な目標設定が無暗なインフラ投資拡大などにつながることをけん制したものだ。
  2. 経済のV字回復を図るには、ある程度の目標設定は必要との声もある。ただ、1~3月期はマイナス成長が必至な情勢にあり、どのような通年の目標値が合理的なのか、見極めは難しい。
  3. 目標値を巡る議論は、中国でコロナ禍が一段落しつつある証左ともいえるが、目標値を決めるための全人代の開催時期はいまだ明らかになっておらず、政府の経済運営の方向はなお不透明だ。
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