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経済百葉箱 第150号

インバウンド需要蒸発、20年度は9割減

―宿泊業など手元資金の枯渇も―

圓花弘樹、黄盛凱、山口修平 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一 総括:田中顕
   

2020/04/09

▼ポイント▼

          • 訪日外国人が急減しており、4月にはほぼゼロとなる見込みである。今秋以降、国内外の渡航制限が徐々に解除されたとしても、20年度の訪日外客数は前年比9割減少すると予想する。これにより、インバウンド需要は3.6兆円減少し、GDPは0.7%押し下げられる。外国人による旅行意欲がウイルス流行前に急回復することも望みづらく、東京五輪も来年に延期された。20年度内の訪日外客数の戻りはわずかと考えることが妥当であろう。
          • 訪日外国人の急減で、関連産業は大きな打撃を受けている。特に、宿泊・飲食業では、国内の外出自粛の影響ともあいまって、景況感が急降下しており、資金繰りが逼迫している。訪日外国人のウエートが2割を占める宿泊業の売上高は、インバウンド需要の減少だけで20年に20%弱下押しされる見込みである。この売上減少額は、手元の現預金を枯渇させる規模である。金融機関や政府のサポートが急務となっている。

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