中国の全国人民代表大会(全人代)が5月28日、閉幕した。会議では疲弊した国内経済の再建策が審議される一方、香港の反体制活動を禁じる「香港国家安全法」を制定する方針が採択され、海外からの注目を集めた。同法を巡っては香港の民主派らが激しく反発しているうえ、対立を深める米国からの批判も強い。なぜ今、習近平政権は香港の締め付けを強化しようとしているのか。同法の制定はどのような意味を持ち、現地でのビジネスへの影響は広がるのだろうか。中国経済を研究し、香港駐在の経験もある亜細亜大学教授(同大学アジア研究所所長)の遊川和郎氏に聞いた。
【第6回のポイント】
- 習近平政権はこれまでにも香港側に国家安全法制の制定を催促してきたが林鄭長官の手腕では実現は困難とみて、全人代において、中国側による立法化方針採択、という強硬手段をとった。背景には米国からの圧力の高まりがある。
- 法律が施行されると、香港での抗議活動や海外組織との連携などが対象となる可能性が高い。施行を阻止しようと抗議活動をしても、もはや事態を変えることはできない。国家安全法の制定により「一国二制度」は行き詰まりを迎えた。
- ビジネスセンターとしての香港の魅力は一段と劣化していくだろう。中国の介入が強まれば、中国ビジネスのリスク回避という、香港の役割は低下してしまうからだ。
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