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- 貯蓄率が一段と上昇している。統計の直近値となる19年10-12月期の貯蓄率は、約19年ぶりの高い水準となった。20年に入ってからも、新型コロナウイルスの流行で所得以上に消費が減少しており、貯蓄率はさらに上昇しているとみられる。
- 貯蓄を取り崩して消費する傾向が強い高齢者が増加すると、貯蓄率は押し下げられることになり、この押し下げ要因は現在も続いている。半面、相対的に貯蓄率が高い共働き世帯が増加しており、この点がマクロの貯蓄率押し上げをもたらしている。
- こうした人口・世帯構成の要因以上に、基調としての要因が貯蓄率を押し上げている。これには、将来不安が影響している可能性がある。高齢層で長寿化リスクが意識されているほか、若年層でも公的年金制度などへの不信感が強く、消費意欲を低下させていると考えられる。
- 仮に、新型コロナウイルスが終息し、人々がこれまでの日常を取り戻したとしても、貯蓄率の上昇が続く可能性がある。所得の増加を消費の活性化に結び付けるためにも、社会保障制度改革や生産性向上など将来所得への不確実性を軽減させる取り組みが必要である。
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