5月の中国経済は、いくつかの指標でコロナ禍からの回復を示す、明るい材料が見られた。政府の補助金政策のもと、乗用車販売がほぼ2年ぶりに前年実績を上回ったほか、住宅販売が全国的に好調で、新築分譲価格の上昇が目立った。工業生産も自動車が牽引する形で4.4%増と2019年8月並みの伸び率にまで戻ってきた。物価も落ち着きを取り戻している。一方、外部環境は厳しく、貿易は輸出入ともに減少。特に輸出の先行きが見通せないため、企業の景況感は本格回復からはなお遠い。5月下旬に開かれた全国人民代表大会で20年度予算が成立したことから、6月以降は、予算執行に伴って投資の増勢がどこまで進むか、が注目される。
概要
- 固定資産投資と不動産開発:不動産、前年並みに戻す
- 輸出入 :輸出入ともに減少~対米黒字は拡大
- 工業生産 :昨年8月並みの増加率に戻る
- PMI :製造業、景況感の回復鈍い
- 社会消費品小売総額 :消費、依然マイナスだが回復基調に
- 消費者・卸売物価指数 :物価高は落ち着き~PPIの下落加速
- 新車販売台数:乗用車、7%増と2年ぶりのプラス
- 外貨準備高 :2カ月連続の増加
☆トピックス :新築分譲住宅の価格が上昇~景気下支えの材料にも
:月収1000元以下は約4億人~中国の家計収入調査から
:台湾で香港人の居留許可件数が急増~脱大陸の動く加速か
☆主要経済統計:バックデータ
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
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