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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「コロナ後のイノベーション動向」 (2)

浮上するヘルス系スタートアップ

―米中で遠隔医療注目、治療薬開発支援も

上原 正詩
  主任研究員

2020/06/05

 連載第1回ではコロナ禍中(3月以降)のスタートアップの資金調達状況から「ヘルス」「ソフトウエア」の2産業分野が注目されていることを見た。スタートアップ全体を見ると、この2つの分野には多くのVCが以前から注目していることが分かる。VCが支援するスタートアップ約1200社 を評価額の大きさ別に見てみると、この2分野はユニコーン(評価額10億ドル以上) になる前の「予備軍」の割合が他の産業分野に比べて多いことが分かる。ベンチャーキャピタル(VC)が幅広く、ユニコーン候補に投資している状況が読み取れる。

【ポイント】

  1. スタートアップ約1200社(評価額3億ドル以上)を分析すると、ヘルス系がソフト系に続いて多くのスタートアップを抱え、ユニコーン候補企業が手厚く存在することが分かった。同分野では米国が7割を占めて世界をリードし、サンフランシスコに続きボストンが評価額合計で2位に浮上した。
  2. コロナ禍で、遠隔医療を手掛けるスタートアップが米中などで注目されている。中国では騰訊控股(テンセント)が支援する微医(ウィードクター)、米国ではニューヨークにあるゾクドックなどだ。
  3. 新薬などの開発プラットフォームを提供する企業も米国を中心に台頭している。ボストンのギンクゴー・バイオワークスなどだ。がん治療薬などを手掛けてるスタートアップがその知見を生かし、コロナ治療薬の開発に乗り出している例も多い。