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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「コロナ後のイノベーション動向」 (3)

ソフト系、米国が世界8割、裾野も広く

―中国は少数精鋭ユニコーン級で対抗

上原 正詩
  主任研究員

2020/06/08

 「ソフトウエア」分野のスタートアップは12の産業分類中で最多企業数を誇り、全体の2割強を占める。中でも米国企業が企業数で全体の8割を占め、ほかの国を圧倒的にリードする。ユニコーン候補も多数控え、すそ野の広さゆえに米国の優位はしばらく続きそうな勢いだ。企業数は少ないものの中国は評価額で大きな企業が多く、人工知能(AI)分野などで少数精鋭で対抗する。ソフト系はビッグデータ解析、ビッグデータ管理、オフィスワークの自動化、サイバーセキュリティー、ソフト開発支援や研究支援ツールなど多彩な領域で、有望な企業が生まれている。

【ポイント】

  1. ソフトウエアはスタートアップ全体約1200社の中で最も企業数が多い産業分野である。米国企業が8割を占め、世界の中で圧倒的な存在感を示す。ユニコーン予備軍に占めるソフト系の割合も、ユニコーンに占める割合よりも多く、今後もユニコーンの輩出が期待される分野である。
  2. ビッグデータの人工知能(AI)によるビッグデータ解析、ビッグデータの管理、オフィスワークの自動化、サイバーセキュリティー、ソフト開発支援ツールなど多様な領域で、有望なユニコーンが生まれている。米企業で最も評価額が大きい米パランティア・テクノロジーズはビッグデータ解析技術をコロナウイルス対策に活かしている。
  3. 一方、中国は企業数では少ないが、評価額合計では4割を占め、少数精鋭のユニコーンがAI分野などをリードする。評価額首位の字節跳動(バイトダンス)はビデオ会議ソフトを投入し、コロナ禍下で注目されるリモートワーク(在宅勤務)市場を開拓する。