新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済が苦境に陥る中、中国はいち早く経済をプラス成長に戻した。下半期は一段の回復が期待されるが、指導部はそのための政策運営に頭を痛めている。過度な景気刺激は不動産や株式相場のバブルをあおる可能性がある一方、米中対立の深刻化で上期は予想以上に好調だった輸出が再び大きく減速する懸念があるからだ。指導部は財政・金融政策を適度に調整する一方、米国との対決に備え、より自立した国内経済を原動力とした新しい発展モデルの構築を急ぐ構えだ。
【ポイント】
- 中国の指導部は下期の経済運営で難しいかじ取りを求められている。4~6月期はプラス成長に戻ったが、新型コロナ対策として実施した景気刺激策は債務増加など副作用ももたらした。
- 下期は基本的に財政、金融とも上期に比べて、ややトーンダウンしたものになる見通し。ただ、景気刺激に消極的では懸案の雇用問題の解決は覚束ない。米中対立の深刻化も大きな懸念材料だ。
- 難局を乗り切るため、指導部は国内経済の自立化を中心とし、国際経済ともリンクしながら持続的な発展を目指すという「双循環」モデルの提唱を始めた。新しい発展モデルを模索する中国とどう向き合うべきか、企業も戦略を練る必要がある。
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