国連経済制裁などの影響で、北朝鮮の鉱工業生産の低迷が続いている。韓国の中央銀行である韓国銀行が発表した「2019年北朝鮮の経済成長率推定結果」によると、2017、18年と連続マイナス成長が続いた北朝鮮経済は、2019年にはわずかにプラス成長を達成した。しかし、主要産業の鉱工業は依然としてマイナスが続いているうえ、今年に入って新型コロナや水害の影響も加わり、北朝鮮経済はむしろ厳しさを増している。金正恩政権は成長目標の未達を認め、再建策の検討に着手。来年1月に新たな経済計画を打ち出す方針だ。
【第19回のポイント】
① 韓国銀行の推計によると、2019年の北朝鮮の実質経済成長率(GDP)は前年比0.4%増加した。3年ぶりのプラス成長だが、主要産業である鉱工業はマイナスが続いた。
② 北朝鮮の国民総所得(名目GNI)は韓国の54分の1(1.8%)水準、1人当たりGNIは27分の1(3.8%)の水準に留まった。
③ 北朝鮮は今年に入って新型コロナ対策のため中国との国境封鎖など国を挙げて厳しい防疫体制を敷いており、経済活動全般にブレーキがかかっている。最近の水害が加わり、制裁、コロナ、水害の「三重苦」に直面している。
④ 北朝鮮は今年「国家経済発展5カ年戦略」の最終年を迎えるが、金正恩政権は経済成長目標が未達成であることを認め、来年1月に党大会を開催し、新たな「国家経済発展5カ年計画」を提示する方針を打ち出した。
① 韓国銀行の推計によると、2019年の北朝鮮の実質経済成長率(GDP)は前年比0.4%増加した。3年ぶりのプラス成長だが、主要産業である鉱工業はマイナスが続いた。
② 北朝鮮の国民総所得(名目GNI)は韓国の54分の1(1.8%)水準、1人当たりGNIは27分の1(3.8%)の水準に留まった。
③ 北朝鮮は今年に入って新型コロナ対策のため中国との国境封鎖など国を挙げて厳しい防疫体制を敷いており、経済活動全般にブレーキがかかっている。最近の水害が加わり、制裁、コロナ、水害の「三重苦」に直面している。
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