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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「コロナ後のイノベーション・ハブ」 (4)

中国・深圳、市政府がリスクマネー供給

―遺伝子解析装置などハード系に資金流入

上原 正詩
  アジア予測室長兼主任研究員

2020/09/15

 新型コロナウイルスの感染拡大で中国におけるベンチャーキャピタル(VC)投資が伸び悩む中、深圳への投資が拡大している。コロナ禍の下でも遺伝子解析装置の華大智造(MGIテック)や薄型ディスプレイの柔宇科技(ロヨル・コーポレーション)などハードウエア系企業が大型資金調達に成功した。物流や電子商取引系企業も強い製造業を背景に深圳では育っている。深圳市政府が設立した官製VC、深圳市創新投資集団(深圳キャピタル・グループ)も新産業にリスクマネーを恒常的に注入している。米セコイア・キャピタルも有力企業に触手を伸ばし、地元のビッグテック、騰訊控股(テンセント)は深圳、中国だけでなく世界に資金を供給する。同じ広東省の広州では自動運転系スタートアップが成長し、隣接する香港はフィンテック企業の集積地として注目されている。東南アジアのシンガポール―ジャカルタ・ラインに対し、東アジアでは珠江デルタ地域に勢いがあるようだ。

【ポイント】

  1. 新型コロナウイルス禍下、深圳へのベンチャーキャピタル(VC)資金流入が中国では突出している。最も巨額の資金調達に成功したのは、遺伝子解析サービス大手、華大基因(BGI)の製造部門、華大智造(MGIテック)だった。薄型ディスプレイの柔宇科技(ロヨル・コーポレーション)、AIチップの雲天励飛技術(インテリフュージョン)が続いた。
  2. BGI、ロヨルなどに共通する出資者が、深圳市政府が中心となって20年前に設立したVC、深圳市創新投資集団(深圳キャピタル・グループ)だ。地元だけではく、今や中国全土に投資先を広げている。
  3. 投資サイドでは米セコイア・キャピタルの中国法人、地元発ビッグテックの騰訊控股(テンセント)もキープレーヤー。米中ハイテク摩擦の最前線に立つ華為技術(ファーウェイ)もVC投資を開始した。