経済の回復と歩調を合わせるかのように、4月以降、プラス成長に転換し始めた中国の自動車市場。新車販売台数は8月も2ケタの伸びが見込まれている。新たな成長分野と期待されてきた電気自動車(EV)など新エネルギー車もわずかに上向きつつある。けん引役は米テスラが現地生産する高級車だが、農村部などでは廉価版のEVに人気が集まっている。ただ、ボリュームゾーンである中間価格帯は振るわず、メーカーの業績も苦しい。現状では、政府が2012年に打ち出した「2020年に年200万台」という新エネ車の販売目標の達成は不可能で、新たな育成策の策定が求められている。
【ポイント】
- 中国の自動車市場が再び活気づき始めた。長く低迷を続けた新車販売台数は2020年4月以降、プラスに転じ、8月は4カ月連続の2ケタ増となる見通しだ。
- 市場が今後、本格的に回復していくのか。カギを握るのはEVなど新エネルギー車だ。米テスラの現地生産が本格化し、高級タイプが消費者の人気となる一方、地方では廉価版が売れており、市場をけん引している。
- もっとも、中間価格帯のEVは苦戦が続き、売れるかどうかは補助金頼み、という状況から脱却できていない。市場全体の大幅な伸びは期待できず、「2020年に年間200万台」という販売目標の達成も不可能だ。政府は新たな産業政策を策定中で、中国企業を軸としたEV事業の本格育成が求められる。
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