シリコンバレーへのベンチャーキャピタル(VC)投資を牽引したのは、自動運転系に加えてソフトウエア系スタートアップだった。その代表例がパランティア・テクノロジーズという異色のテック企業だ。そのパランティアは9月に上場し、脱ユニコーンの段階に移行した。9月に入りベイエリアのソフト系ユニコーンが相次ぎ株式公開に踏み切り、一般投資家から資金を集めている。しかしパランティアなどは資金調達を伴わない「直接上場(ダイレクト・リスティング)」という形をとった。「直接上場」で一般投資家から資金を調達したのは、ユニコーンの既存株主である創業者やファウンダーズ・ファンド(FF)などVCだ。FFはベイエリア生態系の中心的位置を占め、資金を回収して「次のパランティア」に投資する機会に備えている。
【ポイント】
- コロナ禍下、シリコンバレーでVCの投資を牽引したのはパランラィア・テクノロジーズなどソフトウエア系スタートアップだった。もう一つの牽引役の自動運転系はシリコンバレーに集積していたが、ソフト系はサンフランシスコを含めベイエリア全体に特徴的な産業となっている。
- 9月に入りパランティアをはじめ、ベイエリアのソフト系ユニコーンが株式公開という出口戦略に相次ぎ踏み切っている。コロナショック後、株式市場はテック株を中心に急回復。VCに加え、一般投資家の資金もテック系スタートアップに向かう。
- パランティアなどは自らの新規資金調達を伴わない「直接上場(ダイレクト・リスティング)」という形をとった。一般投資家から資金調達したのはパランティアの創業者でもあるピーター・ティール氏や同氏が運営するファウンダーズ・ファンド(FF)などだ。FFはグーグル系のGVと並び、ベイエリア生態系の中心的な位置を占めている。
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