一覧へ戻る
経済百葉箱 第153号

休業者の雇調金打ち切りは失業増に

―年度末の正念場突破に不可欠な再延長―

有田勇一 <監修>短期経済予測主査:稲葉圭一郎 総括:松尾朋紀
   

2020/10/05

▼ポイント▼

          • コロナ禍、わが国では、雇用調整助成金(雇調金)制度の特例措置を受けて、休業者が急増した。これにより、わが国の完全失業率の上昇はG7諸国の中で圧倒的に小さかった。同特例措置は今年末で打ち切りとなる予定だ。
          • 休業者の数は、今年4月の約600万人をピークに減少し、8月には216万人となった一方で、休業者のうち職場復帰を果たせずに完全失業者へ移行する者のシェアは5月の1.7%からジリジリと上昇し、8月には3.8%に達した。
          • 同特例措置の年末打ち切りを前提とする日本経済研究センターの最新予測(9月8日策定)の雇用環境に関する予測値に基づいて試算すると、同シェアは今後も上昇を続け、21年3月には6.9%に達し、個人消費を巡る情勢は正念場を迎える。
          • この状況の突破には、同特例措置の延長が不可欠だ。21年3月まで同措置が延長されると、21年3月の同シェアは4.8%へ2.1%ポイント低下する、と試算される。これは、21年1-3月期を通じて完全失業率を0.4%ポイント押し下げる効果を持つ。

バックナンバー

2023/03/23

経済百葉箱<2022年度>

2022/07/11

経済百葉箱 番外編<2022年度>―景気の断面・国内編―

2022/07/07

経済百葉箱 番外編<2022年度>―景気の断面・海外編―

2022/03/28

給付金は22年度に民間消費を約1.2兆円押し上げ

鈴木沙織、田中大貴 <監修>短期経済予測主査:稲葉圭一郎、総括:松尾朋紀

2022/03/25

設備投資、企業物価高によって増勢鈍化へ

小花利輝、坂井遼太郎、白石尚之、細谷香穂、水ノ上博一 <監修>短期経済予測主査:稲葉圭一郎、総括:松尾朋紀