一覧へ戻る
中国・アジアウォッチ シリーズ企画「コロナ後のイノベーション・ハブ」 (5)

米シリコンバレー、自動運転産業が勃興

―グーグル、新産業育成の中心に

上原 正詩
  主任研究員

2020/10/07

新型コロナウイルス(COVID-19)禍下、米国におけるベンチャーキャピタル(VC)投資は比較的堅調で、特にシリコンバレーには多くの資金が流入している。その伸びを牽引したのが自動運転系スタートアップのウェイモだ。カリフォルニア州のベイエリアでは近年、サンフランシスコに有力ユニコーンが集積する傾向にあったが、自動運転系スタートアップの集積でシリコンバレーが巻き返している。ウェイモはグーグル(アルファベット)の自動運転プロジェクトからスピンオフした企業で、同プロジェクトはシリコンバレー周辺に集積する自動運転系スタートアップの起源となっている。グーグルは研究会社Xデベロップメントでムーンショット級の研究を進め、本体及びコーポレートVCを通じて、ベイエリアなどのスタートアップ生態系に積極的に関わっている。

【ポイント】

  1. コロナ禍下、米国ではシリコンバレーへのベンチャーキャピタル(VC)投資が好調だ。自動運転系とソフトウエア系スタートアップの集積が強みとなっている。
  2. 最も多くの資金を調達したのはグーグルからスピンオフした自動運転系スタートアップ、ウェイモだった。グーグルの自動運転プロジェクトの“卒業生”が多くのスタートアップを設立し、新産業を形成しつつある。
  3. グーグルはコーポレート・ベンチャーキャピタル(VC)のGVを設立し、有力ユニコーンを含め約300社のスタートアップに投資している。直近ではライフサイエンス関連スタートアップへの投資が目立つ。