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中国・アジアウォッチ

大手企業の社債デフォルト、過去最大規模に

――国有大手や「習近平銘柄」半導体大手も

湯浅 健司
  首席研究員兼中国研究室長

2020/11/20

 中国で社債の債務不履行(デフォルト)が目立ってきた。ここに来て、高い信用格付けを得ていた国有大手企業の間で債務不履行が起きているほか、習近平政権の肝いりである半導体大手も債務危機に陥った。このペースが続くと、年間の不履行額は過去最高となる見通し。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、景気回復に胸を張る中国だが、一方では資金繰りに苦しむ企業による債務不履行が相変わらず横行。市場の健全性が損なわれ、安定成長の阻害要因ともなっている。

中国の社債の債務不履行の推移

【ポイント】

  1. 中国で社債の債務不履行(デフォルト)が目立ってきた。マクロ統計はコロナ禍を乗り越え明るい材料が多いが、ミクロの現場では依然として資金繰りに苦しむ企業が少なくなく、今年初めから11月半ばまでの不履行額は1260億8300万元にのぼっている。
  2. 直近では優良企業とみられていた国有エネルギー大手がデフォルトに陥り、市場が混乱。同社は直前に別の社債を発行しており、中国の社債市場の信頼性に改めて疑念も持ち上がっている。
  3. 中国の半導体産業を牽引する国策会社、紫光集団も資金難に苦しんでいる。デフォルトの影はあらゆる産業に広がっており、このままのペースが続けば、今年の不履行額は昨年を上回り過去最高の規模となりそうだ。